2014年08月03日

「稲作産業は成長産業か(吉田不二夫論考、2014年8月2日投稿)」への松井幹雄先生からのメール

おはようございます、松井です。7月例会での貴兄の発表を聞き逃しました。すると要約版が投稿され、報告の概要を知ることができました。大潟村関係者への聞き取り調査など、吉田さんの真摯な取り組みに改めて敬意を表します。ただ、稲作農業は、高付加価値化、規模の経済の2点で制約があり、劣後産業であって「成長産業たりえない」という結論に、少し違和感があります。その根拠は、大量生産方式と規模の経済に関する経済史の研究成果です。例えば、つぎのようなA.D.チャンドラーの指摘に出くわします。大量生産方式、つまり、「大量かつ安定した原材料の工場への流れと、工場からの完成品の同様の流れを生み出す新しい生産方式」が成立するためには、「能率的な機械や設備の開発、高品質の原材料の使用、そしてエネルギーの集約的適用」など技術の革新が不可欠だった。しかし、これらの新技術は、それら単独では効果が限定されていたのであり、「製造設備の設計上の改善や、原材料の流れをコーディネートし労働者を監督するのに必要な管理手法および手続きの導入」など、生産の管理と組織の革新と結びつくことによって、製造設備内を流れる原材料の速度を増し、生産量を劇的に増加させたのである。そしてその結果として、生産性の飛躍的な増大と単位コストの減少が実現したのである。つまり、「規模の経済」と言われる現象を発生史的に見ると、以上のような、旧来作業の解体と新作業組織、新しい管理手法の導入が不可欠だった、ということです。
大潟村での稲作農業が、この「旧来作業の解体と新作業組織、新しい管理手法の導入が不可欠だった」という分野で、どのような挑戦と成果を上げていたのかが気にかかるところです。

吉田さんの稲作農業についての知識、議論を十分に理解しないまま、蛮勇をふるって「稲作農業は成長産業か」について感じたことをまとめてみました。多少なりともご参考になれば幸甚です。
最後になりますが、酷暑の季節、くれぐれもご自愛下さるよう。

追伸;引用文献は、A.D.Chandler,Jr, The Visible Hand,1977(邦訳;鳥羽欽一郎外訳『経営者の時代 上』東洋経済新報社)です。


posted by jtta at 16:39| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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